コーヒーとタバコは最高のコンビネーション コーヒー&シガレッツ
コーヒー&シガレッツ(2003)
監督 ジムジャームッシュ
出演 ロベルトベニーニ スティーヴブシェミ ケイトブランシェット
イギーポップ トムウェイツ
コーヒー&シガレッツは2003年のアメリカ映画である。全編モノクロ映像で
11の短編から構成されるオムニバス形式の作品である
作中のほとんどが喫茶店やコーヒーショップで展開され、登場人物たちは
コーヒーとタバコ、時に紅茶を嗜みながら他愛もない会話を繰り広げる
事の発端は1986年に「ダウンバイロー」のロベルトベニーニを起用して短編
「変な出会い」を完成させたことに始まる
この短編は2人の男がどこかの喫茶店で座って話をしているだけという内容
で彼らはどうしてここに来たのかも、なぜ出会ったのかも説明はなく
会話の内容も特に意味を為さないものである
「本質的に全くドラマティックでない状況が好きだ。
コーヒーとタバコをやりながらただ人が会うだけという状況は
非ドラマティックでそこでの会話も何かに行き着くわけじゃない」
と語る
ジャームッシュのこの言葉を借りることで本作の本質が見えてくる
かもしれない
次にジャームッシュは1989年に『ミステリートレイン』の撮影地
メンフィスで「双子」を撮り、さらに1992年に
「カリフォルニアのどこかで」を撮る
ジャームッシュはこれらを連作として一本の長編の長さに出来ないかと
考え
1993年に「ルネ」と「問題なし」の二篇を1日で撮影する
さらに2003年初めに残りの6本、「それは命取り」「いとこ同士」
「ジャックメグにテスラコイルを見せる」「いとこ同志?」「幻覚」
「シャンパン」を一気に撮って一本の長作に仕上げた
本作はジャームッシュ曰くとても気軽な気持ちで作った作品であり
まず
自分が出演して欲しい人物に話を持ちかけ、出演の承諾を得たらその後
で脚本を書いて、撮影するといった感じにラフな姿勢で製作されていっ
た
ジムジャームッシュの作品の中でも特に肩肘張らないリラックスムービー
となったのはこのような製作背景があるからかもしれない
本作は全体を通してワイドショット、2人のショット、1人のショット、
そしてテーブルを上から撮った真上のショットと、とてもシンプルな
カットだけで構成されている。
こうすることで編集が楽になるし、テーブルを上から撮ることでチェック柄
のテーブルがチェス盤のように見えることからこのようなショットを多用
しているそうだ
繰り返しになるが
全編を共通していることは登場人物たちがコーヒーを飲み、タバコ
を吸い歯医者の話や、エルヴィスの双子の話、ニコラ・テスラの話、
お互いの近況、今までの人生などの様々な話題について語り合うこと
であろうか
本作で印象的なシーンでコーヒーカップで乾杯をするシーンがある
これは形をかえ本作で何度も登場する
これはジャームッシュが最初の短編「変な出会い」を撮った時に
コーヒーカップで乾杯というシーンを使ったがそれがなんだか
バカバカしくも面白いと思ったのでその後も入れる事にしたという
ジャームッシュは自分が見た夢や聞いた話からインスピレーション
をうける
何が心に引っ掛かるかわからないのでいつもノートを持ち歩いていて
常に心を開いておくようにしている
そしてアイディアが集まってくると点と点を繋いでゆく
それがどんな絵になるのかは途中ではまだわからないが、ただ
あるべき点が揃っているからそれを結んでみて牛になるのか
キリンになるのかそれを見る
そんな風に作業をするのがジャームッシュは好きなんだそうだ